プラド美術館で見たい絵「カルロス2世」 

今回のスペイン旅行でのメインはプラド美術館であります。
ということで今からせっせと見たい絵の下調べをしておる最中でございますよ。

プラドといえばベラスケスの絵がまず筆頭に挙げられるのですけど、いや、勿論それも物凄く楽しみではあるのですけれども、今回とにかく楽しみにしているのがこちらの絵だったりしますの。

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カレーニョ・デ・ミランダ カルロス2世

これは中野京子さんの著書「怖い絵」で読んでから物凄く物凄く興味が沸いておりましたの。
もうすぐ本物を見られるかと思うとゾクゾクするほど楽しみでございます。

ちなみにこのカルロス2世という御方はかのハプスブルグ家最後の当主だった方でありまして、この方の死をもってスペイン・ハプスブルグ家は終焉を迎えた訳です。

はて?この人は子孫を残さなかったの?

・・・残さなかったというか、残せなかったんですね。

なぜかというのはこの家系図を見れば一発で納得できます。

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普通なら末広がりに広がっていく家系図ですが、なんということでしょう!この家系図、末に向かってすぼまっているじゃないですか!!

そう、現代人の私達からすると空恐ろしくなるほどの近親婚が続いていたんですね。
カルロス2世の父、フェリペ4世と母マリアナがまず叔父と姪の結婚。
そしてそのフェリペ4世の父、フェリペ3世もその父、フェリペ2世と母アンナの叔父、姪婚で生まれた御人でありました。

恐ろしいことに近親交配の度合いを示す近交係数が、カルロス2世は0.254であったといわれています。
他人婚の場合は0。そして親子、兄妹婚の場合で0.25といいますから、それ以上の濃さになっていたそうな。

このように縺れに縺れた近親結婚の繰り返しで最後の頃には死産や夭折してしまう子達ばかりになっていたんですね。

何故そこまでになっても外からの血を入れなかったんだか現代人のわたくしなどうんざりしてくるのですが・・・
そこは最高峰の名家のプライドってやつなんでしょうなぁ。まあ領土を守る為に、ってのが一番だったとおもうんですけどね。

んで、最後の最後にこの世に決死の思いで搾り出されたのがこの御仁だった訳ですが・・・生命力衰えまくった弱い子だったらしく、いつまでも乳を飲み、読み書きも出来ず、常にその長い顎がかみ合わない為によだれをたらし続けていたという。
父王ですら幼いわが子を人前に出すのを嫌がり、やむを得ず出す時には黒いヴェールを掛けたという程。
56歳で出来た待望の王子!・・・それに対してその待遇とは!!・・・この肖像画はかなり美化されているんでしょうなぁ。

そんな訳でカルロス2世は生涯2人の妻を娶るのですが当然子供を残す力は無く、彼の死をもって輝かしい歴史を刻んできたハプスブルグ家は歴史から名を消すのですね。

・・・こうした背景を知ってから見るとなんともこの少年王が切なく哀れに見えてくるではないですか。
名家の奢り、傲慢、意地・・・そんなものがすべてこの弱々しい少年に覆いかぶさってしまったんだと思うと、人間の子供にはさほど感傷を抱かないわたくしといえど「きゅうぅ・・・」という気持ちになりますわ。 (←分かります?この感覚)

そしてまたこの彼の後ろには女としての人生を無くしてしまった2人の妻の苦悩も漂っているんですよね。
1人目の妻は美しかったというのに恐らく彼との生活が余りにも普通でないことに苦悩し、病的なまでに太ってわずか26歳でなくなってしまったというのですからどれほど辛かったか想像に難くないではないですか。

重いわ・・・ヘヴィ過ぎる絵だわ・・・
この絵を見る時にはしっかりタオルハンカチ持参でいくつもり。

ちなみにこの絵の作者カレーニョ・デ・ミランダはベラスケス亡き後、宮廷画家として活躍した有名画家さんであります。
ベラスケスはこのカルロス2世が「肖像画に描けるようになる頃」にはこの世を去っておりましたが、彼の姉の肖像画は何枚か手掛けております。

その姉君こそがマルガリータ・テレサ・マリア。
あの「ラス・メニーナス」の中心に描かれている愛くるしい王女さまでありますね。

ベラスケスは宮廷画家としても活躍していましたが、フェリペ4世の信頼厚く、イタリアへの芸術品の買い付けなどにも関わっておりました。
そのイタリアでの買いつけで買ってきたものの中の一つ「メディチのライオン」という彫刻があったといいますが、その「メディチのライオン」を使ったテーブルがこのカルロス2世が手を置いているテーブルだそうです。
勝手な推測ですけど、ミランダはベラスケスへの敬愛を示す為にこのテーブルを描くことを選んだのでしょうか。
(反発、挑戦は無いだろうな、と思うんですよねぇ。だって存在が圧倒的過ぎて、もうね)

このテーブルは今でもプラド美術館に展示されているそうですので、この絵と一緒に堪能して参りたいと思っています。

参考文献・・・中野京子著「怖い絵」泣く女編 角川文庫
         中丸明著「プラド美術館」   新潮選書

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