「キャタピラー」 

キャタピラー

製作年:2010年
製作国:日本

戦争に翻弄された1組の夫婦の姿を通して戦争がもたらす愚かさと悲劇を綴る。主演は本作の演技でみごと2010年ベルリン国際映画祭最優秀女優賞に輝いた寺島しのぶ。赤紙が届き、盛大な見送りとともに戦場へと出征していったシゲ子の夫、久蔵。だが、ほどなくして久蔵は生きてシゲ子のもとへと戻ってきた。ところが、その姿は四肢をなくし、顔が焼けただれたあまりにも無惨なものだった。村民からは武勲を讃えられ“生ける軍神”と祀り上げられるも、旺盛な食欲と性欲をひたすら世話するだけの介護の日々に戸惑いを隠せないシゲ子だったが…。

全編画面の全部から

「どうしてうちだけがこんな目に。いっそ死んだ方がましじゃないか」

という感情が痛いほど伝わってくる映画でした。

勿論ちがう状況ではあっても同じ感情を持ったことのある人間としては息苦しいほどの圧迫感を画面から感じる実にヘヴィな内容。

理不尽な仕打ちに怒る術も反抗する術も、ましてや復讐する術も持たない人間がどうやって自分の感情を抑えてこらえるしかないのか・・・そして救いは最後の最後までありません。

死ぬことが一縷の救いだったという感じでしょうか。

主人公シゲ子の夫が不自由な体になったのは直接は戦火のせいでありますが、それ以前にこの夫婦には因果があったようですね・・・その時代、地方では仕方なかったことなのかもしれませんが、結局それも誰を恨もうにもどうしようもないこと・・・結局それ以前の因果からこの夫婦にはどちらかが死ぬことでしか救いが無かったのかもしれません。

嗚呼、なんと暗い感想だろうか。

・・・でもそういう風にしか考えられない程救いの無い映画です。

ちなみに・・・わたくし的には第二次世界大戦というのは勿論実際に経験はしたことは無いものの、そう遠い出来事という感じの「歴史」ではないのですよね。

わたくしの両親は同世代の親に比べてかなり年上でありまして、戦争を経験した人たちでありました。
わたくし世代ですと戦争というのは「おばあちゃん」の世代の出来事というのが大多数なのですが、わたくしにとっては「親」世代の出来事だったわけです。

ですのでB29がどんなに恐ろしい爆音をさせながら飛来してきたのか、その時の防空壕の中がどんな恐怖に満ちていたか、地上で爆発する焼夷弾の威力がどれ程のものだったか、そして終戦の日、玉音放送が流れる日本がどれ程暑く、太陽がぎらぎらと照りつけていたか・・・まあそういうことを幼い頃から寝物語に聞かされていた訳ですね。
特に母親は千葉の東京よりに住んでいたので東京大空襲の夜、遠く空が赤く染まった光景を忘れられなかったようです。

そして当時、どんなに意義を唱えたくても絶対にお上に逆らうことが許されなかったのかもいやというほど聞いてきました。

そういう状況も分かった上で観るとシゲ子のやり場の無い気持ちが突き刺さるように伝わってきて、観ていて本当に辛くなります。

それにしても寺島しのぶの演技は凄い。
わたくし的には梨園のお嬢様育ちの女優なんかにこんな悲惨な役が出来るのかね、といった気持ちも無くはなかったのですが・・・いや、前言撤回ですわ。物凄い、という表現がピッタリでした。

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ただ、これって江戸川乱歩の「芋虫」が原作よね?・・・どこにも書いてないけど。

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